
テレビの世界では、視聴率が高くなるゴールデンタイム(19〜22時)でのCM出稿が重視されています。しかしモバイルデバイスが普及した今、人々がオンラインコンテンツや広告に接触する機会は24時間化しています。
それでは、どのような時間帯で動画広告を配信すると、高い効果を期待できるのでしょうか?
今回ご紹介するのは、米YuMe社が公開した、人々の動画視聴動向や動画広告の受容性(企業からの広告メッセージを好意的に受け入れようとする態度)に関するレポートです。1万名以上の被験者を対象として、日々の動画視聴行動や広告効果の調査が行われました。
広告受容性がもっとも高いのは「早朝」
まず、1日の中での人々の動画視聴動向を示したのが下のグラフです。日本国内の調査では、昼休みの時間帯に小規模なピークが発生するというデータも出ていますが、一般的には夕方から就寝前にかけて動画を視聴する人が増えるとされています。
▽ 1日における動画視聴動向の推移
これに対し、1日の中での広告受容性の推移を示す下のグラフからは、早朝5時頃にピークを迎え、そこから徐々に下降し、午後〜夜はあまり大きな変動がないことが読み取れます。
一般論として、動画視聴者数が多い時間帯に広告を配信した方が良いと考えられていますが、広告受容性と視聴動向は必ずしも一致しないことを示す、興味深いデータです。
▽ 1日における広告受容性の推移
受容性について、デバイス別に分類してさらに詳しく見てみると、早朝が高いという傾向は変わりませんが、タブレットは早朝に大きなピークを迎える一方、スマートフォンは比較的安定して広告受容性が高く、夜の時間帯はすべてのデバイスの中でスマートフォン上の広告がもっとも受容されやすいことが分かります。
▽ デバイス別に見た広告受容性の推移
広告認知・態度変容も朝がダントツ
以上のような広告受容性の推移は実際に広告効果にも表れているようです。
下のグラフを見ると、想起率やアテンション(どれだけ目を引いたか)といった広告認知に関する項目では、朝(03:00〜11:59)がもっとも高い結果となっています。
▽ 時間帯別の広告認知効果
さらに好意度、他人へのおすすめ意向、購入意向といった態度変容項目についても、下図の通り、朝が圧倒的に高い結果を示しています。昼〜夕方にかけては大きくその値が下がり、夜(21:00〜02:59)にまた少し上昇しています。
▽ 時間帯別の態度変容効果
今回ご紹介したのはあくまで米国内での調査であるため、そのまま日本人の生活スタイルや広告受容態度に当てはまるとは言えない部分もありますが、時間帯によってこれだけ大きな差があることは注目に値するでしょう。
今後は配信時間についても、さまざまなパターンで検証を繰り返し、最適な配信タイミングを見極めていきたいものです。