
これまで、テレビCMとパイを奪い合うというストーリーで語られることが多かったWeb広告ですが、近年ではテレビCMとWeb広告を併用したプロモーションもよく目にするようになってきました。
テレビCMとWeb広告のクロスメディアマーケティングについて、米マーケティングリサーチ大手ニールセンの調査から、テレビCMとWeb動画広告を組み合わせることで広告効果が大幅にアップすることが、明らかになりました。
ニールセンの調査「A Comprehensive Picture of Digital Video and TV Advertising」から、テレビCMとWeb広告の組み合わせが、プロモーションの効果を高めることが明らかになりました。そしてWeb広告のなかでも、とりわけWeb動画広告との組み合わせが効果的であるようです。
調査概要
調査期間:2011年1月から2012年3月までの間
調査対象:ニールセンが収集したテレビ、ネット広告に関連した全解析データ
調査内容
テレビCMのみを視聴した人と、テレビCMに加えてWeb(動画)広告を視聴した人(テレビCMの1週間前からWeb上で配信開始したもの)に対して、「広告認知」(General Recall)、「ブランド想起」(Bland Recall)、「メッセージ理解」(Message Recall)、「ブランドに対する好感度」(likeability)の4項目を調査。
またWeb広告は、次の3つ種類のパフォーマンスを比較しました。
- テレビCMのみ vs. テレビCM+動画広告(Huluなどの長編動画用のプラットフォームでの出稿)
- テレビCMのみ vs. テレビCM+動画広告(配信動画の大半が24分以下のプラットフォームでの出稿)
- テレビCMのみ vs. テレビCM+ディスプレイバナー広告(静止画)
テレビCMの放映前にWeb動画広告を配信すると、メッセージ理解に効果的
1. テレビCMのみ vs. テレビCM+動画広告(Huluなどの長編動画用のプラットフォームへ出稿)
■:テレビCM + 動画広告(Huluなどの長編動画用のプラットフォームで配信)
■:テレビCMのみ
2. テレビCMのみ vs. テレビCM+動画広告(配信動画の大半が24分以下のプラットフォーム)
■:テレビCM + 動画広告(配信動画の大半が24分以下のプラットフォームで配信)
■:テレビCMのみ
3. テレビCMのみ vs. ディスプレイバナー広告
■:テレビCM + ディスプレイバナー広告(静止画)
■:テレビCMのみ
3つの調査の全ての項目で、テレビCMのみの場合に比べて、事前にWeb広告でもプロモーションを行った方が、効果が得られるという結果になりました。中でも「メッセージ理解(平均45%UP)」「ブランドに対する好感度(平均35%UP)」効果的であることがわかりました。
さらに1.2.の【動画広告】と、3.の【ディスプレイバナー広告】を比較してみると、「広告認知」を除く全ての項目で、動画広告の方が高いパフォーマンスを発揮したことがわかります。とりわけ「ブランドに対する好感度」においては、バナー広告が27%向上したのに対して、動画広告は40%向上と、広告効果に大きな差が出ました。
また調査レポートでは、テレビCMにかける広告費の15%程度をWeb広告にかける広告費に割り当てることで、最もコストパフォーマンスの高いプロモーションが行えると分析しています。
「テレビかネットか」というシェアの奪い合いから、「テレビとネットで」というクロスメディアマーケティングへ――その効果が客観的に示された結果となりました。
[参考]
A Comprehensive Picture of Digital Video and TV Advertising[PDF]