ブランドスイッチの可能性大!化粧品業界に有効な動画マーケティング
キーワード: コンテンツマーケティング ブランディング 売上UP 海外事例

化粧品購入に際し、インターネットで情報収集をする人が増えています。
そこで今回は、情報収集時の人々の動向に関する調査結果と、潜在する見込み客にアプローチするための動画を目的別に取り上げます。
さらに、YouTuberによるレビュー動画をマーケティング施策に取り入れた結果、売上が400%増となった事例をご紹介します。
化粧品購入を検討する視聴者は動画を求めている
Googleは、女性が化粧品を購入する過程でデジタルツールをどのように活用しているのかを調査したレポート「Digital Behaviors of Beauty Shoppers」を公開しました。本レポートから、人々が化粧品を購入するまでの動向が明らかになりました。
半数近くの人は、購入ブランドを決めていない状態で調べ始める
55%の人が、より多くの情報を得るために動画も見ている
48%が商品紹介動画、37%がHowTo動画を検索している
消費者がブランドを決めずに情報を探している状態は、メーカーにとっては新規ユーザーを獲得するチャンスです。そのタイミングで、視聴者が求めている商品情報や購入検討を促す動画に接触してもらうことで、新たなファンを獲得する可能性が高まると言えます。今回は化粧品という商品特性から考えられるさまざまな動画事例をご紹介します。
目次
ブランデッドコンテンツ
Dove(ダヴ)が2013年に配信した動画「リアルビューティー・スケッチ 」は、再生数1億回以上を超え、世界中の女性に気付きと感動を与えました。本動画のように、商品紹介ではなく、企業の想いやスタンスを伝えるブランデッドコンテンツは、ブランドイメージを大切にする化粧品だからこそ有効に機能すると言えます。
商品を登場させず、女性の生き方を応援する
POLA(ポーラ)が行った調査では、日本では母親になると名前ではなく「ママ」などの呼称で呼ばれるようになる女性が77%もいることが判明しました。この事実を受けて同社が行ったのは、「母親を名前で呼んでみる」という実験です。この試みを通して”小さな変化で女性は本来の美しさを取り戻せる”ということが明らかになりました。
名前で呼ばれることで起こった心の変化をたどるストーリーを通して、表面的な美しさだけでなく、内面からも女性を強く美しくしたいという企業の想いが伝わってきます。
学習コンテンツ
次にご紹介する動画は、美容にまつわる学習コンテンツです。具体的な商品は出てきませんが、視聴者が気付いていない肌の問題を認識させたり、抱えている悩みを解決できる商品が欲しい、と思わせる効果があります。
専門家による解説で問題解決法を教える
通販化粧品会社ORBIS(オルビス)は、肌の専門家が出演する学習動画を公開しています。「大人ニキビ」という具体的な症状に対して、根本的な原因を解説する内容です。
その商品がどれだけ効果が高く、魅力的であっても、企業自身による「効果があります」というメッセージだけでは他ブランドとの差別化は難しいところがあります。そこで、第三者の専門家による解説動画という形で情報発信することで、信頼性を高めながら商品の価値と必要性を納得させることができます。
シミュレーション動画で将来の問題を認識させる
スキンケアブランドのLA ROCHE-POSAY(ラ ロッシュ ポゼ)は「紫外線を長年浴び続けるとどうなるか?」というシミュレーション動画を公開しています。
視聴者自身が現在気付いていない肌の症状も、ショッキングなシミュレーションを視覚的に見せることで、将来抱えるかもしれない問題を認識させ、商品を使うことの必要性を訴えています。
商品への理解を深める動画
テレビCMなどの短尺動画では伝えきれないコンセプトや機能を動画で丁寧に伝えることができれば、商品に対する理解促進を図り、ファンづくりへとつなげることができます。
商品コンセプトをストーリーで伝える
L'OCCITANE(ロクシタン)は、新商品のオードトワレのイメージとコンセプトを、当時話題となっていたサンドアートで表現しました。
本商品のコンセプトは「ふたつの香りがめぐり逢い、生まれた、無限のハーモニー。」であり、2つの香りが織りなす新しい香りを最大の特徴としています。
「清楚なジャスミンと、いきいきしたベルガモット」という香りの性質を擬人化した美しいサンドアートがコンセプトの印象を強く残すと同時に、商品イメージを高めています。
違いを伝えて、差別化を図る
メイク商品を展開するBare Escentuals(ベアエッセンシャル)が公開しているのは、ミネラルファンデーションの商品紹介動画。一般的なファンデーションとの違いを3Dモデルや試験結果を用いて解説することで、分かりやすく説得力のある動画となっています。
シンプルに商品メリットを伝えているため、興味を持った後の検討購入段階、また他商品との比較段階にいる視聴者に有効な動画と言えるでしょう。
How To(ハウツー)動画
多くの企業がすでに実施しているのがHow To動画です。具体的な商品の使用方法を視聴してもらうことで購買意欲をかき立てます。購入後もアフターフォローとして活用できます。
用途により表現を変えるHowTo動画
RMKはオフィシャルチャンネルでHowTo動画を中心に配信しています。「スキンケア」「ベースメイク」「ポイントメイク」にカテゴライズされており、スキンケアはセルフで行う動画、メイクはプロが行う動画、と用途によって表現方法を変えています。
文章や写真だけでは伝わりにくいメイクの方法を、プロのメイクアップアーティストが動画で解説することで、有用で信頼性が高い動画に仕上がっています。
レビュー動画
最後にご紹介するのはユーザーによるレビュー動画です。商品を購入する前に多くの人がレビューや評価を確認する昨今、化粧品分野においても、消費者によるレビュー動画は購買を促す効果的なコンテンツの1つとなっています。
特に近年は、YouTuberによるメイクアップ動画が人気を博しています。国内ではメイク専門のYouTuberとして人気の佐々木あさひさん、国外ではMichellePhan(ミシェル・ファン)さんなどが挙げられます。
売上が400%増。YouTuberを活用した動画マーケティング
2009年にドイツで生まれたBH Cosmetic社は、2013年に「成長著しい米国企業のトップ500」に選出されるほど、米国で急成長している企業です。
しかし、2010年に同社が米国に進出した時、既に市場は成熟しており、新規参入するには非常に困難な状況でした。同社は社内で制作した動画でマーケティングを行うものの、なかなか上手くはいきません。そんな状況を救ったのが、YouTuberによるチュートリアル動画でした。
同社は、主力製品である「アイシャドウパレット」を使用した動画をYouTuber達に投稿してもらいました。
その結果、Twitterのフォロワー数は3万5千人増加し、Facebookのいいね!数は75万件増加。YouTubeチャンネル内の累計動画再生数も600万回に達し、最終的に売り上げが400%も増加する大成功を収めました。
同社CEOは成功の要因について「YouTuberたちが弊社の商品について率直な意見を述べてくれたこと、また彼女たちの動画で多くのユーザーが商品の使い方を理解してくれたことがブランディングに大きく貢献した」とコメントしています。
購入検討フェーズと目的に合った動画を
「一体どのような動画を作ればよいのか?」と悩んだら、「セールスファネル」の考え方を取り入れてみましょう。
(セールスファネルについての詳細記事はこちら)
例えばファネルの上段、すなわちブランドや商品の認知が低い段階ではブランデッドコンテンツや解説動画が、納得させたい時は商品説明動画が有効でしょう。商品理解が進み、最後に購入へと後押ししたい場合は、具体的なハウツー動画などが適していると言えるでしょう。
さらに、ホームページやECサイトに誘導するアノテーションやCTA(コールトゥアクション)などを積極的に活用し、動画で関心を持った視聴者が容易に商品を購入できる導線づくりに取り組むことも忘れてはいけない重要なポイントです。
[参考]
Beauty Gurus Change the Industry—BH Cosmetics' Amazing Success Story :
http://www.beautylaunchpad.com/node/16990
v3mm : http://v3mm.com/wp-content/uploads/2013/12/Hyperlink-Test-3.pdf