
自動販売機は、世界中のいたる場所にある身近な存在です。そんな自販機を使い、人々にさまざまなチャレンジを仕掛けるキャンペーンが注目を集め、バイラル動画として多くの人々に視聴されています。
自販機を「飲料を購入するもの」から「一般の人々との接点」として企業プロモーションに活用した好事例をご紹介します。
目次
コカ・コーラゼロ:70秒でミッションをクリアせよ!
キャンペーン概要
コカ・コーラ社の「コカ・コーラゼロ」と、映画「007スカイフォール」がコラボレーション。
コカ・コーラゼロを購入した人々に、とあるミッションを課すことで、007の主人公であるジェームス・ボンドになりきることができるプロモーションです。
全面ディスプレイの自販機でコカ・コーラゼロを買うと、画面に『007スカイフォールのチケットがもらえるチャンスがほしいですか?』と表示されます。そこでディスプレイにタッチし名前を入力すると、『70秒以内に6番ホームへ行け』の指令とともに、カウントダウンがスタート!
一見簡単なようにも思えますが、途中にはさまざまな障害が立ちはだかります。自販機横のバイオリニストが弾く007のテーマをBGMに、全速力でホームへ向かうチャレンジャーたち。無事クリアした人にはチケットと盛大な拍手が贈られました。
ミッションをクリアするまでに起こる障害や、007のテーマソングで盛り上げることで、まるでジェームス・ボンドになったかのような気分を味わうことができます。再生回数が1千万回を超えている人気動画です。
swisscom:60分間同じ場所を見続けよ!
キャンペーン概要
スイスの通信会社「swisscom(スイスコム)」が行ったキャンペーンは、60分間微動だにせず視線をキープできたら、Galaxy S4をゲットできるというもの。
チューリッヒ駅構内に現れた自販機の前で、60分間じっと画面を見続ければ、Galaxy S4がプレゼントされます。途中、犬が吠えたり、カップルがすぐそばで喧嘩したりと多くのトラップがチャレンジャーを襲います。続々と失敗するなか、最後の挑戦者はついに成功。舞い降りる風船とギャラリーに祝福されながら、見事Galaxy S4を獲得しました。
実はGalaxy S4には視線検知機能がついており、自社とその機能のPRを目的としたプロモーションでした。内容のキャッチーさとおもしろさから、450万再生超えのバイラル動画となりました。
ソチ五輪組織委員会:スクワット30回をやり遂げよ!
キャンペーン概要
ソチ五輪組織委員会が行ったのは、スクワット30回でモスクワ地下鉄を無料にするキャンペーン。
ソチオリンピックと習慣的な運動の普及をPRする狙いがありました。
2014年2月のソチ五輪開催前、モスクワ地下鉄構内に現れたのは、スクワットを計測するマシーン。この前で30回スクワットすると、無料でモスクワ地下鉄のチケットがプレゼントされました。
老若男女がチャレンジし、中には片足でスクワットする男性も。ソチ五輪のキャンペーンとともに、「運動を取り入れた生活様式を普及させたい」というPRの狙いがあるようです。再生回数は320万回以上。
Fantastic Delites:自販機の指示に忠実に従うべし!
キャンペーン概要
スナック菓子等の販売を行うオーストラリアの「Fantastic Delites(ファンタスティック ディライツ)」が行ったのは、自販機の画面に示される要求に応えれば、自社商品がゲットできるというプロモーション。
オーストラリアのある街角に設置されたのは、一台の「Delite-o-matic」自販機。画面表示の指示に従えば、無料でお菓子をゲットできます。続々と人々が集まりますが、「マシンの前で跪いて拝む」「ダンスする」など、だんだんと要求のハードルが上がっていきます。
本動画は280万再生を突破しています。一見、視聴者にとっては、要求に答えればお菓子をくれる太っ腹なマシンに思えます。しかし実は要求を上げることで、「お菓子(Fantastic Delites)のためにどれだけのことをやってくれるのか?」を企業側が実験しているのがポイント。
同社はシリーズとして「障害があっても人はお菓子のために挑戦するのか?」を実験し、動画を配信しています。
「身近なもの」が「非日常な体験」を提供することで、挑戦者も視聴者も楽しませる
ご覧頂いたように、自販機を用いたプロモーションは、企業によって様々なチャレンジコンテンツを用意しています。
視線検知機能がついたGalaxy S4のプロモーションでは「視線を動かさない」といったチャレンジ。ソチオリンピックは運動をキーワードにスクワットチャレンジ。
このような企業のPR内容とチャレンジ体験を絡ませた試みは、WEB上のインタラクティブな経験とはまた異なるリアルな体験を伴っており、体験者へ強くブランドを印象づけます。
また、自販機といった「どこにでもあるもの」といった身近さを感じさせるものを媒介し、「チャレンジ」という形で体験を提供することで、人々に遊園地のアトラクションのような非日常感や楽しさを与え、ブランドをさらに強く印象づけています。
この「身近」なものが「非日常」な体験を与えてくれるという新鮮さが実際のチャレンジャーだけでなく、動画視聴者までも楽しませることに繋がり、バイラル現象を生んでいるのではないでしょうか。