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ナレッジ 2016年07月15日

視聴完了率が高いのは短尺or長尺? 動画広告尺の比較実験で明らかとなった意外な結果とは【Googleレポート】

キーワード: 動画広告

ブランディング目的の動画広告において態度変容を起こすにはどれくらいの尺が必要なのでしょうか? 完全視聴率を高めるために短尺にまとめるべきでしょうか?
マーケターなら誰しも一度は直面するそんな疑問に対してひとつの解を示すべくGoogleが実施した比較実験の結果レポートをご紹介します。

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1960年代、米国での標準的なテレビCMの長さは60秒でした。その後、より多くの広告主が参入できるよう30秒のCMが登場し、続いて、より低予算で広告を出したい企業の要望に応えるべく15秒のCMが導入されるようになりました。このようにCMの長さはその広告効果ではなく、出稿費によって変化してきた歴史があります。 

しかしオンライン動画広告が登場した今、動画広告尺の自由度が大きく高まりました。そして過去に行われた調査では、ビューアブルな状態での視聴時間と、ブランド認知・検討意向の向上との間に相関関係があることが明らかになっています。
また、企業動画広告の人気ランキングであるYouTube Ads Leaderboardの2014年度版にランクインした動画広告の長さは平均3分で、2013年度と比べて47%も長くなっています。このデータから視聴者が長尺の動画広告を好んで視聴していると推察することもできます。

以上の事実は、YouTube上では長尺広告ほど効果的ということを意味するのでしょうか? その答えを探るべく、Googleは Mondelez社のと共同で動画広告尺の比較実験を行いました。

3パターンの動画尺とそれぞれの仮説

本実験では、同社のクラッカーのブランド「Honey Maid」の広告として、スキップ可能なTrueView用に3種類の長さの動画広告を用意。そして広告に対する視聴者の反応として、「視聴者はどの広告を選んで視聴するのか(15秒、30秒、それ以上の動画広告を視聴したか否か、またどれくらい動画の視聴を継続したか)」と「Google BrandLiftを用いて、各動画広告が広告想起とブランド好意にどのような影響をもたらしたか」を評価しました。

広告の内容はいずれも、アメリカのヒスパニック系移民の歴史文化を祝福する月間であるNational Hispanic Heritage Monthを記念して、アメリカに移民として渡ってきたゴメス一家が歩んできた道のりや家族愛を描いたものです。3パターンは以下の通り、ストーリー・商品・ブランドの要素が異なる割合で構成されています。

(1)15秒版

 

(動画の内容)
もっとも短い15秒版は、父親のナレーションと共に家族一同のシーンを映し、ブランドのロゴとタグラインで幕を閉じる構成。商品は動画開始後6秒で登場し、商品もしくはロゴのいずれかが合計5秒間(全動画尺の33%)映し出される。

(ロジック)
このような短尺動画広告は、スキップされる可能性が低く、ストーリー訴求やブランドリフト効果が損なわれることはない。コンパクトな尺の中でストーリーとブランドをバランスよくまとめることで、視聴者の関心を維持し、視聴者との関係を築くことができる。

(2)30秒版

 

(動画の内容)
父親が仕事に向かう姿や家族とのふれあいのシーンを含んだ30秒版ではストーリーに広がりが生まれている。商品は15秒版よりも多く画面に登場するものの、ブランディング要素の表示は15秒版と同程度。商品カットは動画開始後11秒で初めて登場。商品やロゴは10秒間(全動画尺の30%)映し出される。

(ロジック)
30秒は決して長尺ではないが、より深みのあるストーリーで視聴者を引き込むことが可能。つまり視聴者の関心を維持するのに適した簡潔さがありながらも、記憶に残る印象を与えるために十分な長さがあると考えられる。

(3)長尺版(2分17秒)

 

(動画の内容)
もっとも長いバージョンでは、家族のストーリーに一段と深く迫っている。父親に加え、母親、娘、祖母の語りが加わっている。他のバージョンと同様に、家族と記念日というテーマを描いている。商品は動画開始後1分17秒で登場し、商品もしくはロゴが映し出されのは12秒間(全動画尺の9%未満)のみ。

(ロジック)
ゴメス一家が経験した葛藤を描くことでストーリーに緊張感が生まれ、ラストのお祝いのシーンの深みが増している。家族一人一人の人生模様が重ね合わさったストーリーが視聴者を魅了し、エンゲージメントを高めることができる。

実験結果から明らかになった3つのポイント

上記3種類の動画広告のうち、人々がどれをもっとも視聴(維持)するのか、そしてどのようなブランドリフト効果を見せるのか、という2点について、結果とともに考察が述べられています。

1. 長尺でも高い視聴完了率を期待できる

一般的に、完全視聴率を高めるためには短尺動画が推奨されます。しかし本実験で視聴完了率(VTR)を比較すると、15秒がもっとも低く、30秒版と長尺版の方が長く視聴されていました。3つのバージョンすべて、Mondelez社の通常の広告よりも高い結果を残しましたが、その中でも30秒版がもっとも高いVTRを記録。15秒版と比較すると30%も高いという結果でした。
さらに30秒版はもっともスキップされにくく、15秒版がもっともスキップされていたことも分かっています。

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また30秒版と長尺版は、ブランド好意度の向上の面でも15秒版を上回りました。複雑なストーリー構成により深みと広がりが加わることで、視聴者とのより深い関係性が生まれたと考えられます。すでに広く認知されているブランドであれば、視聴者の態度変容を促す上では長めのストーリーが効果的と言えそうです。

2. 動画広告の目的に応じて動画尺の戦略を決める

15秒版は3種類の中で唯一、非常に高い広告想起が見られました。認知拡大を目指すブランドにとって、短尺広告は効果的かつ効率的であると言えるかも知れません。短尺のフォーマットは、認知を高め、記憶にも残りやすく、検索などのアクションを促せる可能性があるのです。

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ただし、広告想起とブランド好意の間には大きなギャップがあることを忘れてはいけません。例えば広告想起において非常に高いパフォーマンスを見せても、好意度が同時に上がるとは限りません。あくまでマーケティング目的に見合ったKPIに注目して、効果の最大化を目指すことが大切です。

3. ブランド表示をラストまで残さない

もし長尺の動画広告を展開するのであれば、ブランドロゴやタグラインの登場を最後までとっておかないことです。どんなに魅力的な広告であっても、ストーリーが進むにつれ徐々に視聴者が減っていくことは避けられません。

本実験でも、長尺版を最後まで視聴した人の率は、標準よりは高いものの、たった15%ほどです(消費財ブランドの長尺広告の完全視聴率は平均で数パーセント)。1分17秒時点で初めてブランドロゴが登場する前に動画をスキップしてしまった視聴者は、何のブランドの広告だったか知る由はありません。ブランドと視聴者のつながりを最大化するためには、ストーリーが展開するにつれて徐々にブランドを関連づける演出を考える必要があります。ただし、単純にロゴを表示するだけでは逆効果です。Googleによる過去の調査において、ロゴの表示だけでは視聴完了率が低下することが明らかになっています。その代わり、ブランドを随所に織り交ぜながら展開されるストーリーを考案するべきと言えます。

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近年、人々のアテンションスパンが短くなっていると言われていますが、良質なストーリーであれば、たとえスキップボタンが存在していたとしても視聴者の関心を引き、視聴維持させることも可能であることが、本実験によって証明されました。YouTubeでは6秒のバンパー広告というフォーマットも提供されていますが、あくまでマーケティング目的を達成するために最適な動画尺を理解し、それに合った優れたストーリーを生み出すことが動画広告成功のカギと言えそうです。

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