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インタビュー市場動向・レポート 2015年11月04日

【特別レポート】テレビ・動画・知財マネジメント各社が見るコンテンツビジネスの未来―― チャンスは協業にあり?

10月26日、『TOKYOイノベーションリーダーズサミット2015』内で行われたパネルディスカッションにmovieTIMES編集長 瀧が登壇しました。

コンテンツビジネスの最前線で活躍する3名のパネラーを迎えて開催された興味深いセッションの模様をレポートします。

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セッションのタイトルは『メディアとネットの融合による革新的ビジネスの創造』。
パネリストとして、株式会社フジテレビジョン コンテンツ事業局長 山口 真氏、株式会社LOCUS 代表取締役 瀧 良太、株式会社ダブルエル 代表取締役 保手濱 彰人氏が登場し、新日本有限責任監査法人 パートナー 白取一仁氏による進行のもと、コンテンツビジネスの課題と今後の展望について、熱い議論が繰り広げられました。

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多種多様な側面を見せるコンテンツビジネス

フジテレビは10年前から動画配信サービス『FOD』(元フジテレビオンデマンド)を展開。「現在会員数80万人、MAU200万人と着実に会員を増やし、すでに黒字化を実現しています」(山口氏)

フジテレビの動画配信戦略は、テレビ番組の7日間見逃しサービス「+7」に代表される「無料広告型」、Netflixとの取り組みのような定額制の「月額見放題型」、「都度課金型」の3つを柱にしています。山口氏は「どのビジネスモデルがどの程度視聴者に受け入れられるのか予想がつかないところがあります。そのため柔軟に対応できるよう、敢えて複数のサービスを混在させて走らせています」とその戦略を明かします。

またFODでは動画だけでなく、音声がなくても楽しめるコミックや雑誌もコンテンツとして配信。「コミック作品は、そのアニメや実写動画と並べて置いています。相乗効果により、単体で置いておくよりも多く視聴されるので、解約防止と顧客単価のUPにつながっています」(山口氏)

fuji画像参照元:http://fod.fujitv.co.jp/s/

続いて紹介されたLOCUS(ローカス)は、”動画クラウドソーシングと広告代理業のハイブリッド型ビジネスモデル”を特徴としています。「創業した5年半前は、テレビ番組やテレビCMが動画コンテンツの中心にあり、ゼネコン型の動画制作市場では必然的に制作費が高くなるという課題がありました。今後動画の活用シーンが広まり、配信面も増える中で、動画制作にもこれまでと違うアプローチがあるべきではと考えました」とベンチャー立ち上げのきっかけを語る瀧。

LOCUS社内には営業兼プランナーやクリエイターマネジメント担当を置き、社外に500名のクリエイターをネットワーク。案件内容に応じて最適な社外クリエイターをアサインするというビジネスモデルで、数十万円から1000万円クラスまで、幅広い予算規模での動画制作を実現しています。

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ダブルエル社は、マンガコンテンツを中心とする知的財産のライツマネジメントを手掛け、グローバル規模での収益化を目指すビジネスを展開。

保手濱氏はこの領域について、「マンガは世界的に見てもパワーのあるコンテンツ。しかし日本の出版社はこれまでマンガを知財としてきちんとマネジメントしてこなかったため、国内での局所的な収益化に留まっています。他方、例えばスパイダーマンなどは、コミックに始まり、映画、アパレル、おもちゃなど、国と業界を超えてマネタイズに成功しています」と日本市場ならではの課題に言及。しかし同時に今後への期待感も見せます。「今、コンテンツの流通・配信コストは大幅に下がっています。海外市場のニーズや文化を的確に捉え、きちんとマーケティングすれば、そこには大きなビジネスチャンスがあると思っています」(保手濱氏)

LL画像参照元:http://doublel.co.jp/

コンテンツビジネスはブルーオーシャンか?

ここで山口氏より、コンテンツビジネス市場を表す三角構造図が提示されました。

上部に位置するのは、莫大な予算と時間をかけてコンテンツを制作するハリウッドのスタジオや大手テレビ局など。これに対し下部では、YouTuberのような個人クリエイターや、日常的に動画を投稿する個人がどんどん厚みを増してきています。彼らは非常に安価に、人を引き付ける力のあるコンテンツを大量に生み出しています。

山口氏はこの間にある空白領域(中間層)に大きなビジネスチャンスがあるのでは、と提言します。

ils_img画像参照元:会場でのスライド資料を元に編集部で作成

「ダブルエル社やLOCUS社は、まさにこの中間層のフィールドでビジネスを展開しており、例えばLOCUS社は比較的安価でも訴求力のある動画の制作を強みとされている。テレビ局もこの中間層までビジネスを拡大していかないと、やがて個人クリエイターにこの市場を取られてしまうのでは、という危機感を持っています。だからこそ、我々大手がベンチャー企業や個人クリエイターといかに協業できるかを考えていく必要があると考えています」(山口氏)

これに対し、瀧は三角構造の下層にあたる個人や小規模事業者にもっと動画制作・活用の機会を提供する新サービス『FastVideo』を発表しました。
「小売店や飲食店などの小規模事業者や個人事業主からの動画制作の問い合わせが年々増えています。今はスマートフォンで誰でもそれなりの動画を撮影できますが、それをどう編集すれば良いのか分からないという声が実は多いんです。そこで、テンプレートに動画や写真を組み込むだけで簡単かつ安価に動画を制作できるサービスをこの秋に立ち上げます」とその背景を語る瀧。「まずはこのFastVideoで気軽に制作して動画活用の価値を感じていただき、我々のメインビジネスであるオリジナル動画の制作や動画マーケティングに興味を持っていただければと期待しています。

一方、保手濱氏は大企業と個人のシナジーも必至だと言います。「今は動画に限らず、マンガの世界でもアマチュアのクリエイターが非常に増えています。彼らはSNSやブログで個人的に作品を公開していますが、その中から力のあるコンテンツを大企業が発掘し、そのブランド力やマネジメント力を使って作品を世に広く出すという形をもっと増やしていくことが課題の1つと考えています」

これを受け、山口氏も「我々はカンヌのMIPCOMなどで海外市場にコンテンツを売り込むこともよく行います。世界に通用する力のあるマンガというコンテンツを海外展開するという面でも、個人クリエイターの方と組むことができるかもしれませんね」と協業の可能性を探ります。

海外進出成功のカギは現地のリアルな反応

今後はあらゆる分野において、国内だけでなく海外市場を意識したビジネス展開が求められていきます。コンテンツビジネスにおいてはどのような課題があるのでしょうか。

海外市場には多くのチャンスがあると語るのは保手濱氏。「今、海外では海賊版を含めて多くの日本のコンテンツが消費されています。ただし海外でのマーケティングを考える際に重要なのは、現地の声やニーズを直接聞くことです。流行るか否かは結局、感性の領域。その国で受け入れられるかどうかは、日本にいるだけでは分かりません」

これに対し、瀧も「動画広告や動画コンテンツを海外で展開する事例も増えていますが、”ウケる”広告クリエイティブを制作するためには、現地の文化や宗教、広告のトーン&マナーなどを正しく捉えることが不可欠です」と強調します。

今の時代における"良い"コンテンツとは何か

セッション終盤、コンテンツの価値や良し悪しの判断はどうあるべきか、という会場からの質問に対しても、三者三様の興味深い意見が聞かれました。

山口氏は日本のテレビ視聴率が抱える課題に言及。「アメリカではNielsenが中心となり、テレビでの視聴だけでなくオンライン配信や録画を含めたすべての接触量を1つの指標でまとめています。私も本来そうあるべきだと考えています。日本ではビデオリサーチ社による視聴率だけを見る歴史が長く続いてきましたが、その評価軸を変える動きもゆっくりですが進んでいますので、そこに期待をしたいと思います」

広告の分野について瀧は、「去年までは、とりあえずオンライン動画広告を出稿してみる、という企業が多かったのですが、今年に入り、A/Bテストを試みたり、YouTubeやFacebookなどメディアに合わせてクリエイティブを少しずつ変えるといったケースが増えてきました。オンライン動画では、離脱した場所や完全視聴率など、視聴データをすぐに取ることができますので、広告に限らずコンテンツも含めて、よりシビアにその価値を見極めるようになってきています」との見解を示しました。

保手濱氏は最後に「マンガの世界では、かつてはコアなファンからの読者アンケートハガキが頼りでしたが、今はインターネットでファンのリアルな反応をつかめるようになりました。その一方で、目立つコンテンツやバズるものに数字が偏るため、インパクトに頼らない良質なコンテンツを中長期的に育てるのが難しいという面があります」という課題に触れるながらも、「しかし、クリエイターがファンの声を取り入れながら一緒に展開を考えてコンテンツを育てていく、という新しい形には可能性を感じています」と締めくくりました。

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今はまだ動画コンテンツの主な消費者は若年層ですが、彼らの年代が上がるのに伴い、インターネットで動画を見るのが当たり前の時代がやがて到来します。日々激しく変化する市場の中で、時代のニーズに応えるコンテンツやサービスを提供する企業が成功を収めていくことは間違いないでしょう。
さまざまな可能性を秘めるコンテンツビジネスの動向から目が離せません。

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