
2015年9月末に月間アクティブユーザー数が4億人を突破したInstagram。それまで一部企業のみ出稿可能となっていたInstagram広告ですが、10月1日付で運用型広告のローンチが発表され、すべての企業が広告を出稿できるようになりました。
動画によるコミュニケーションが増えている今日、ユーザーのエンゲージメントが高いInstagramは動画広告の配信先としても注目が集まっています。
世界で4億人もの人々が利用するInstagram。その75%がアメリカ以外に住むユーザーであり、世界中の人々が写真や動画によるコミュニケーションを楽しんでいます。Instagramの公式発表では日本はその中でも特にユーザー数を伸ばしている国の1つとして名が挙がっており、国内の月間アクティブユーザー数は800万人を超えています。
そんなInstagramは、ユーザー体験を尊重するというポリシーのもと、長い間、広告配信に対して慎重な態度をとっていました。しかし、日本を含む一部の国で出稿企業を限定して行われた広告キャンペーンのうち97%で広告想起率の飛躍的な向上が見られるなど、その効果の高さが明らかとなりました。
これを受け、Instagramは9月末に30以上の国で広告配信を開始し、10月には運用型広告の導入に踏み切りました。
運用型Instagram広告×動画の3つのメリット
日本では今年5月からすでに、ユーザーのフィード上に広告が表示されるインフィード型広告の導入が始まっていましたが、出稿できる企業は“Instagram側が認めたアカウントのみ”という制限がありました。しかし今回の運用型広告の導入により、あらゆる企業が自社管理の下で広告配信ができるようになりました。
これに加え、インフィード型広告も機能が強化され、外部サイトへの誘導やアプリインストールができるようになっています。
ターゲティングは親会社のFacebookと同様に年齢、性別だけでなく、趣味、カスタムオーディエンスに基づいてセグメントでき、広告の購入や管理はFacebookパワーエディタおよびInstagram広告APIから行える他、一部のFacebookマーケティングパートナー経由でも可能とのことです(参考 )。
以上のような特徴を持つInstagram広告において動画を活用すべき3つの理由をご紹介します。
1. 動画は写真よりもエンゲージメントがUP
Simply Measuredは今年の6月にInstagramを活用しているトップ企業100社を対象に、Instagramに投稿された写真と動画のエンゲージメントの比較調査を実施。その結果、動画は写真よりもエンゲージメントが2倍高いことが明らかになりました。
また、フォロワー数が100万人を超えるヨガウェアブランドのLululemon社では、調査期間中、動画は写真の7倍近くのコメント数を記録し、「いいね!」数は2倍以上となったそうです。もともとユーザーのエンゲージメントが高いと言われるInstagramですが、動画を使えばさらにその効果が期待できそうです。
▼写真(赤)よりも動画(青)を配信した方がエンゲージメント(緑)の大幅な向上が見られた
画像参照元:https://app.simplymeasured.com/viewer/7fm8xqpfn3l838sr7hbb4q738yhr56/1131004
2. 運用型で少額から出稿可能に。動画広告も低コストでの運用が実現
もともと低コストと評判のInstagram広告ですが、運用型になったことでFacebook広告同様、1000円からの出稿が可能になりました。以前は最低出稿金額500万円とも言われていましたが、誰でも手軽にInstagram広告を利用できるようになりました。
さらに、DIGIDAYの9月の記事 には、動画広告のコストが1視聴当たり2セント程度という関係者の声が紹介されています。
今後、出稿する企業が増えることで出稿費が変動する可能性もありますが、少額からスタートでき、高い費用対効果も期待できるInstagram動画広告は、多くの企業にとって大きなチャンスと言えるでしょう。
3. 30秒動画&横長サイズ対応で、より幅広い表現が可能に
Instagramでは通常の動画投稿は最大15秒ですが、広告の場合は最大30秒までの動画が配信できるため、表現の幅が広がります。さらに、写真、動画ともに横長サイズにも対応するようになり、これまでInstagram用に正方形の動画を作成するか、横長動画をトリミングするしかなかった動画配信の自由度が増しました。
つまりクリエイティブの幅が広がり、より豊かなストーリーをユーザーに伝えることができるようになっています。
▼Nissanによる横長サイズの動画事例
ユーザーの目を引く4つのクリエイティブ・アイデア
以上、Instagramで動画広告を展開するべき3つの理由をお伝えしてきましたが、フィードでユーザーの関心を引き付けるためにもっとも重要なのがコンテンツの内容です。
ビジュアルコミュニケーションの場としてユーザーの支持を受けているInstagramでは、フィードに合ったトーン&マナーやユーザーの嗜好を的確に捉えた動画広告を目指すことが大切です。ビジュアルの美しさや画として楽しめるエンターテイメント性のある表現を意識するのはもちろんのこと、フィード上では動画は音声なしで自動ループ再生されることも考慮する必要があります。
そこで、各企業の事例をもとにクリエイティブのアイデアを紹介します。
1.ストップモーション
コマ撮りとも呼ばれ、1コマごとに被写体を少しずつ動かして撮影する技法です。手作り感があり、温かみや親近感を感じさせます。
2.タイムラプス
一定の間隔で撮影した静止画をつなぎ合わせて早回し再生する技法です。スピード感があり、フィードで流れていると、つい目を留めてしまう魅力があります。
3.シネマグラフ
GIFアニメ―ションを用いた表現手法の1つです。静止画の一部分だけが動き、まるで写真が動き出したような不思議な映像体験を視聴者に提供できます。
4.スライドムービー
写真を組み合わせ、テンポよく切り替えていく動画表現です。1シーン1シーンがまるでInstagramの写真投稿のようで、フィードに馴染みます。
また、右側のようにユーザーに写真投稿を募ったキャンペーンにも活用できます。
広告運用に関わる各種サービスも続々と登場
運用型の導入により、動画広告の出稿先としても存在感を増していくと予想されるInstagram広告。運用に関わる各社サービスが次々に立ち上がっていることからも、マーケティング手法として注目度の高さがうかがえます。
・電通ブルー:Instagramのビッグデータを活用した「#ハッシュタグコンサルティング」のサービスを開始
・OPEN8、3Minute:女性向けのスマートフォン動画事業で業務提携。動画制作・配信サービス「OPEN3」を開始
・アライドアーキテクツ:Instagram広告と連携したキャンペーンパッケージの提供を開始
Instagramユーザーに受け入れられやすい広告クリエイティブは、他のオンライン動画広告とは異なるテイストのものも多いですが、初めてInstagram動画広告を活用する企業も、今なら低コストでさまざまなチャレンジができます。A/Bテストが行いやすい環境にあるとも言えるでしょう。
新たな動画広告の配信先として、Instagramを積極的に検討してみてはいかがでしょうか。