
事前のリサーチから予約手配、現地でのナビゲーション、思い出の共有まで、今や旅行はインターネットなしには成立しない時代になってきました。
そこで今回は、旅行業界の中でも「ホテル・旅館業」に注目し、動画広告の効果に関する調査レポートや動画コンテンツアイデアをご紹介します。
旅行に関する検索行動は年々増加
Googleによる米国内を対象とした調査レポートを見ると、旅行全般およびホテル関係の検索件数は前年比13%の伸びを見せており、そのピークは夏休み前の7月に迎えています。
▽1年を通してのホテル関係(紫色)と旅行全般(青色)の検索ボリューム
さらにモバイル経由では、ツアーや飛行機よりもホテルに関する検索が大幅に多く、前年比で49%も増えていることも明らかになっています。
▽カテゴリー別のモバイル検索ボリュームの比較
以上のことから、ホテルや旅館が多くの旅行者を獲得するためには、オンライン施策が不可欠であり、その中でも高いSEO効果が期待できる「動画」が優位に働くことは間違いないでしょう。
さらに、YouTubeは今や世界第2位の規模の検索エンジンです。旅行を検討している人が、目的地や宿泊先に関する情報をYouTube上で探す傾向はこれからも強まると予想されます。ホテルの魅力や役立つ情報を紹介するさまざまな動画をYouTube上に掲載しておくことで、海外を含め、より多くの潜在旅行者の目に留まる可能性が期待できます。
観光誘致目的の広告とホテルによる広告の相乗効果が明らかに
近年、自治体などによる観光誘致の動画広告や動画プロモーションを目にする機会が増えています。それらが実はホテルの宿泊客獲得にもプラスに作用していることを示す調査レポートが公開されました。
調査を実施したのは、プログラマティック・マーケティングプラットフォームを提供する米Rocket Fuel社。2014年後半から2015年前半にかけて米テキサスへの誘致を目的に展開されたオンライン広告キャンペーンを調査対象とし、対象広告接触/非接触の旅行者が、テキサスシティ内のホテルが展開するオンライン広告を経由して予約したか否かを追跡しました。
なお、調査対象となった観光誘致のオンライン広告と、各ホテルが展開するオンライン広告に一切の関連はなく、それぞれ独自に計画・実施されたものです。
結果
・テキサス観光誘致のオンライン広告(ディスプレイまたは動画)に接触した旅行者は、広告に接触していない旅行者よりも6.2倍、テキサスシティ内のホテルでの予約意向が高まった。
・テキサス観光誘致の動画広告を完全視聴した旅行者は、広告に接触していない旅行者よりも23倍、テキサスシティ内のホテルでの予約意向が高くなった。
・広告非接触の旅行者と比較して、ディスプレイ広告に接触した旅行者の予約意向が3倍だったのに対し、動画広告に接触した旅行者は20倍、予約意向が高まった。
以上のように、観光誘致の広告が、ホテルなどの宿泊施設が展開する広告のコンバージョンに影響することが明らかとなりました。そしてその効果は動画の方が圧倒的に大きいことが分かります。
自治体などによる誘致プロモーションが活発化している今こそ、ホテル・旅館自体も動画広告を展開し、相乗効果を狙いたいところです。
ホテル・旅館の魅力を伝える動画コンテンツアイデア
業界問わず、サービスの魅力や特徴を訴求する上で動画は非常に有効ですが、特にホテル業界ではビジュアル情報が潜在顧客の意思決定を大きく左右する可能性があります。
そこで最後に、ホテルのハード面、ソフト面のさまざまな魅力を訴求するための動画コンテンツアイデアを6つご紹介しましょう。
バーチャルツアー
360度パノラマ写真などを用いて、ウェブサイト上でバーチャルツアーを展開する事例はこれまでにも多く見られていましたが、今や動画も360度で撮影・再生できる時代です。動画にすることでリアリティや時間軸が加わり、豊富な情報が伝わることから、旅行者の期待値とのズレも少なるため、満足度の向上にもつながるでしょう。
▼360度動画で部屋の内部だけでなく、窓からの眺望の変化までを映し出しています
ユーザーの声
TripAdvisorのようにユーザーによる評価や体験談を集めたサイトが賑わいを見せていることから、実際に宿泊した人の意見を参考にしたいと考える旅行者のニーズに応える動画も制作したいところです。宿泊客にフォーカスすることで、ゲストを大切にしようとするホテルの姿勢も伝わります。
▼スタッフがインタビュアーを務めることで、フレンドリーさを演出できます
ユーザーとしてYouTuberの起用も検討したいところです。動画による表現ノウハウを備えるYouTuberなら、より魅力的に訴求してくれるでしょう。
▼見ているだけでワクワク感が伝わってきます
スタッフ紹介
動画内で「顔」を見せることで、潜在顧客の不安を払拭できるという効果は以前お伝えした通りです。(過去記事 )
ホテルなら、直接ゲストに接するスタッフはもちろんのこと、シェフや裏方スタッフにもフォーカスすることで、旅行者に安心感を与えることができます。
▼シェフへのインタビューや調理場の様子を映し出すことで関心を高めています
エリア紹介
観光目的に宿泊する旅行者のために、その地域の様子やイベント、おすすめスポットなどをホテル独自の目線で紹介すれば、エンゲージメントも深まります。
▼コンシェルジュ自らが街を案内することで、ホテルへの信頼感が増しています
設備などの紹介
ホテル内でのインターネット環境や駐車場などの基本的な情報ももちろん、旅行者は必要としています。設備や周辺環境なども動画化することで、より分かりやすくなり、旅行者の記憶にも残りやすくなります。
▼基本情報が過不足なくコンパクトにまとめられています
ウェブサイトの背景動画
ブランディングや情報提供の中心的役割を果たすウェブサイト自体の充実化も集客施策として欠かせません。サイト訪問者の目を引き、関心を高めるために、目指す世界観や館内の様子を映した映像を背景動画として活用するのも有効です。
▼サイトのトップに背景動画を置くことで視聴者に世界観を印象付けています
サイト:http://hotel-sakurai.co.jp/
ホテルや旅館を決める前に、より多くの情報に触れた方が安心して予約できるという心境は読者の皆さんも共感できるところだと思います。また、訪日外国人観光客が毎年増え続けている今、海外の人にアピールする上でも、動画は非常に有効です。
動画を通してホテルの魅力を最大限訴求し、より多くの旅行者の獲得を目指してみてはいかがでしょうか。