
交通安全、環境保全、ロードサービス———
様々なジャンルの動画を年に約10本のペースで作り続けている一般社団法人日本自動車連盟、JAF様。
動画コンテンツを作り続ける背景には、「安全啓発」「活動周知」「メディア露出」の三つの要素がありました。
今回、movieTIMES編集部は実際にJAF様へインタビューに伺い、動画コンテンツの充実にいたる背景を聞いてきました。
一般社団法人日本自動車連盟(以下、JAF)様。その事業内容は「健全なくるま社会の発展」への寄与をモットーに、自動車ユーザーに対して安全と安心の支えとなるサービスの提供、交通の安全と環境のための事業活動など非常に幅広く、どれも私たちの生活に密着しています。
JAF様では2009年より、様々な車社会に関する動画コンテンツから構成される動画サイト「JAFチャンネル」を運営されています。
今回は「JAFチャンネル」のご担当者様に動画活用に関してのJAF様のお取り組みについて、お話をうかがうことができました。
ユーザーを意識してできあがったのがJAFチャンネル
―動画を使い始めたきっかけはなんでしたか?
全国各支部で開催している交通安全講習会などの内容を動画にしようとしたのが発端ですね。そこで、講習会に参加できない方にもアドバイスできるように動画をつくろうと考えました。
JAFの場合、わざわざ動画を作るために改めて用意しなくても、全国各地で講習会などの「場」や「企画」が存在していたので比較的取り組み易かったです。講習会などに人が集まるということは、それだけニーズがあるということだと思うので、インターネットにアップロードをしたらより沢山の人に見ていただけるんじゃないかと考えていました。
▼講習会の模様を動画に
―なるほど。最初からJAFチャンネルを想定して動画を作りはじめたわけではなかったのですね。
そうですね。JAFのさまざまな活動の場面で動画を作っていたので、全体として動画のラインナップが増えてきて、だったらそれをホームページの中で一つにまとめよう”という感じで、2009年4月に動画コンテンツを集約したページ「JAFチャンネル」を公開しました。
この頃から配信方法をダウンロードからストリーミング形式に変更したり、見飽きられない長さ(尺)にしたり、動画自体の魅せ方や企画などを工夫するようになりました。
ちょうど世間的にもWEB上での動画コンテンツが増えてきた時期でもありましたし。
―ユーザーを意識するようになった原因はなんでしたか?
動画は、より効果的に内容を伝えることができる手法だと判断したからです。特にロードサービスや交通安全の啓発を目的にしたものについては動画で見ていただくことで更に理解が深まるのではないかと考えました。
―やはり目的は会員様の獲得だったのでしょうか?
いえ、基本的に軸にあったのは、周知啓発でした。
まずは、JAFが「健全なくるま社会の推進」を理念に掲げ展開している、活動内容を知ってもらうこと。
そして、交通安全意識の向上や車を安全に使うための知識を広めるための効果的なツールを作ることでした。このように、社会貢献要素が大きい取組みでしたが、結果的に動画を通じてJAFメリットやJAFの活動に共感いただき、会員様の獲得に繋がっていきました。
映像コンテンツがあることによって増えたメディア露出
―実際、このような形でコンテンツを作ってみて、効果を感じますか?
視聴し、楽しめるコンテンツとして好評です。
あとは、実際に映像コンテンツができあがると、メディアから取り上げられることが増えましたね。
特に衝突テストのような交通安全の実験映像などにはTVメディアから使用依頼を多くいただきました。やはり動画があると、メディア側としても取り上げやすいようです。結果、動画を見てもらえる機会も増え、間接的にJAF自身のプロモーションにも繋がり良い循環を生んでいます。
このような効果を肌で感じているので、それが次の動画制作に繋がっています。
―プロモーション用途としては、どんな場面で動画を活用していますか?
webでは、「JAFチャンネル」というまとめたページにアップすることで、目的とする動画以外のものも見ていただき、幅広い活動の周知に繋がっています。
他にも動画をアップロードする際に会員向け機関誌『JAFMate』で告知したり、誌面の画像をスマートフォンで撮影すると動画が再生されるアプリを活用したりと、動画に誘導し、接する機会をより増やしていくよう取り組んでいます。
あとはイベント開催時のアイドルタイムを活用したプロモーションなどにも使っています。
―作られた映像を幅広く活用しているのですね。
そうですね。画像やテキストよりも理解されやすいですし、一部のエリアの活動を全国的に紹介できるというのも映像の強みだと思います。
“経験したことの無いモノ”を身近なものに
―色々と先進的に映像活用をしていらっしゃいますが、改めて動画の価値をどのように考えていますか?
伝わりやすいことが一番ですね。例えばロードサービスで言えば、車の故障する場面は日常的に経験することではないので、“JAFってどんなことやってるの?呼んだたらどんなことしてくれるの?”ということは言葉で説明するより、動画の方が伝わりやすいと思います。
動画が「経験したことの無いもの」を「身近なもの」「安心できるもの」にしてくれるという感じですね。今後も積極的にさまざまな分野の動画制作を進めていくつもりです。
―今後の動画展開はどのようにお考えですか?
直近では夏に向けて「車内温度」についての実験をまとめた動画を作り、社会に向けて注意喚起したいと考えています。昨年の夏には車内温度による事故も多数発生して話題になりましたし、こういった時事的な話題から次に制作する動画を決めたりしています。
今後はさらに、交通安全啓発やお役立ち動画などJAF ならではの動画を追加していき、コンテンツの充実を図ってきたいと思います。
―本日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
まとめ:動画の活用の背景に存在した確固とした理念
今回のインタビューで感じたことは、動画活用の背景に存在する確固とした理念でした。
JAF様は常に「どのようにしたらより啓発ができるか、どうしたら健全なくるま社会が推進できるのか」という視点で動画を作り続けていらっしゃいました。
「健全なくるま社会の発展」のための活動を知ってもらうことを目指し始まった動画制作が、結果的にメディア露出が増えるきっかけとなり、JAF様自体をより多くの人に知ってもらい、さらに会員獲得の促進にもなり――JAF様にとっていくつもの良い連鎖を生み出していらっしゃると感じました。
JAF様の取材を通じ、動画の持つ新しい側面を教えていただきました。
今回は取材にご協力いただき、本当にありがとうございました!
[参考]
JAFチャンネル
http://ch.jafevent.jp/index.php