動画マーケティングの最新情報|movieTIMES ムービータイムス

movieTIMES ムービータイムス 映像制作の株式会社LOCUS

クリエイティブ市場動向・レポート 2017年02月14日

共感を得られるか、それとも批判の的となるのか――この難しい時代にメッセージ性が際立つブランディング動画5選

就任以来、トランプ大統領の一挙手一投足に注目が集まっていますが、その極端な政策方針に対し、米国内でも意見が真っ二つに割れているようです。
このような世論が二分しやすい状況下でも、ブランドとしての思想やスタンスを果敢に発信するブランディング動画が複数公開され、話題を集めています。

thumb_20170214_political.001

数年前から、女性を応援する動画や、LGBTQのような多様性を支持するブランディング動画が多く公開され、世界的に共感を得てきました。

しかし英国のEU離脱やトランプ大統領の就任といった政治動向に象徴されるように、人々の意見が大きく分裂する空気が広がっています。

そのような中で、企業やブランドが思想や政治的スタンスを表明するのは一種のリスクとさえなっていますが、それでも自らのブランドポリシーを貫き、堂々とメッセージを発信している海外のブランディング動画を集めました。

Expedia「Train」

 

旅行予約サイトExpediaが公開した、「旅には人を変え、世界観を変える力がある」というコンセプトの本動画。

シベリア鉄道の列車内で出会った男性から旅の大切さを教えられた若い女性が、世界中を旅行しながらさまざまな文化や出来事に出会い、成長していくさまを美しい映像で表現しています。

“多くの人が旅を通してさまざまな文化に触れ、理解しあい、共通点を見出すことで、差別や偏見、偏狭な考え方が克服され、より良い世界にできる”という同社の理念が込められた本CMは、トランプ大統領の就任式の様子を伝えるCNNの番組の中で流されました。選挙期間中から自国ファースト主義を掲げ、移民や他宗教を排除する姿勢を示してきた大統領の就任式というタイミングに合わせ、自らの存在意義を堂々と示した同社には強い意志が感じられます。 

Airbnb「We Accept」

 

宿泊マッチングサービスのAirbnbによる本CMは、さまざまな人種や民族の顔を並べながら、次のようなメッセージを掲げています。

quoteWe believe no matter who you are, where you're from, who you love or who you worship, we all belong. The world is more beautiful the more you acceptquote-end

(直訳:あなたが誰であろうと、どこの出身であっても、誰を愛し、誰を信仰しようとも、私たちは今いるべき場所にいると信じている。もっと受け入れることで世界はもっと美しくなる。) 

本作は、トランプ大統領が7カ国からの入国を一時的に制限する大統領令にサインしたわずか9日後、スーパーボウル中継内のCMとして放映されました。同社が昨年11月に公開していた動画「Accept」がベースとなっていますが、「who you worship(誰を信仰しようと)」という、宗教の面でも多様性を受け入れようという主旨の一文が加えられています。

もともとトランプ政権の移民政策に対して強く反発していた同社。当初はスーパーボウルでCMを出す予定はありませんでしたが、CM枠がひとつ残っていることを知った経営陣が急遽出稿を決断したそうです。既存素材を使ったとはいえ、わずか3日ほどで仕上げ、影響力の強いスーパーボウル内での放映を実現するというその決断力と行動力の高さには驚かされます。 

TV2「All That We Share」

 

デンマークの放送局TV2は、ひとつの実験動画を公開しました。

スタジオに集められた80名は、年代や住んでいるエリアなどでグループ分けされ、次々にボックスに収まっていきます。高所得者、低所得者、デンマーク生まれ、移民、田舎出身、都会人、信仰心の強い人、無信仰者……。日常生活では交わることさえなさそうな多種多様な人たちがひとつの空間にいるため、皆どこか居心地が悪そうです。

そんな中、進行役の男性がさまざまな問いかけをし、該当する人たちによって新しいグループが形成されていきます。

「クラスのお調子者だった人」「死後の世界があると信じる人」
「ダンスが好きな人」「いじめられたことがある人」「熱愛中の人」……

すると、それぞれのボックスから人が歩み出てきます。一見、何のつながりもなさそうな他人たちが、実はさまざまな面で共通点があるということが明らかになっていくのです。そして、初めは表情の固かった人たちも、多くの人と連帯感を感じることで徐々に柔らかな顔つきになっていきます。

「バイセクシャルな人は?」という質問でひとりの男性が前に出ると、その勇気に対して拍手が起こりました。そして最後の「デンマークを愛している人は?」という質問に対しては、全員が1つのグループにおさまりました。

英国のEU離脱や、米国の動向など、世界的に「分断」が進んでいると言われる昨今ですが、普通の人たちが意外と簡単に自分の“枠”を飛び出し、他人と通じ合うことができる姿に、どこかホッとした人も多いのではないでしょうか。

もともとはデンマーク語のみ公開されていましたが、世界的に反響が大きく、英語版も制作されることになった本作。意図的かは定かではありませんが、英語版が公開されたのが、米国の入国制限に関する大統領令が明らかになった日に重なり、込められたメッセージがなおさら際立つ結果となりました。

SEPHORA「#NeverStop」

コスメ専門のセレクトショップを展開するSEPHORAは「#NeverStop」キャンペーンを展開。女性も男性も、自分が好きなスタイルを貫き、自分なりの“真実”を楽しむことを応援しています。動画に登場するのは、グレー色の髪を自分の個性と認めて敢えてカラーリングをしない女性や、ナチュラルメイクにこだわるトランスジェンダーの女性、青いリップで個性を楽しむ女性など。

Sephoraはもともとブランドタグラインとして「Let’s beauty together」を掲げており、本キャンペーンに政治的なメッセージが意図的に込められているかは明らかではありませんが、現在の米国の状況の中で、多様性を応援するメッセージは非常にタイムリーで大きなインパクトを残しています。

Budweiser「Born The Hard Way」

 

最後にご紹介するのは、ビールブランドのバドワイザーがスーパーボウル内で放映したCMです。「ビールを作りたい」という夢を持ったドイツ人の青年Adolphus Buschが苦労の末に米国に移り住み、さまざまな困難を経て、のちの共同創業者であるEberhard Anheuserと意気投合するまでを描いています。

情熱を失わず、努力を続けることでアメリカンドリームを叶えた移民の姿を描く本作は、今年のスーパーボウルのCM動画の中でももっとも多く視聴され、評価も高い作品のひとつとなりました。企画自体は昨年10月から進んでおり、昨今の政治動向に対するメッセージは意図していないと同社はコメントしていますが、公開されたタイミングが、トランプ大統領が7カ国からの入国規制を打ち出した直後だったため、移民政策を批判するものだとしてトランプ支持者による不買運動まで起こってしまいました。

ADWEEKによると、同社は本作がこのような政治的論争を引き起こすことは望んでいませんでしたが、時に、予期せぬ方向へ議論が展開されてしまうことも多い昨今の状況を踏まえ、あくまで本作の主旨が正しく伝わるよう対策を考えていたとのことです。

結果的には、ネガティブキャンペーンの影響は限定的で、反対に、いつもより多くのメディアに取り上げられることとなり、ソーシャル上でも好意的な反応が大半を占めていたようです。

hr

今回ご紹介した動画に対しても、見る人によって感じることはさまざまでしょう。多くの人から支持を得るかもしれませんし、否定的な意見を持つ人も少なくないかもしれません。

ひとつの動画への反響がビジネス面にも大きな影響を与える可能性がある昨今、企業は発信するメッセージに対して慎重にならざるを得なくなっています。ましてや、意図していたものと違った形で受け取られて批判の対象となったり、バドワイザーの事例のようにブランドとしてもともと持っていたストーリーが政治的な意味に取られてしまう可能性があったりと、自社ではコントロールできない部分が増えていることも事実です。

このように、企業にとってはコミュニケーションがますます難しい時代になっていますが、だからといって諦めてはいけないはずです。自らの信念に対して共感を得るための努力を続けていくことが、今こそ求められているのかもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

動画制作×動画マーケティングにお困りならLOCUSへ

株式会社LOCUSでは大手企業から新進ベンチャー企業まで、800社以上の動画マーケティング支援を行っています。

幅広い用途や、多種多様な表現手法が揃う動画制作実績もご覧いただけます。

Page Top